青い空



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         はだい悠






「ねえ、トモちゃん、どこ、どこにいるの?」

「私はここよ。」

「よかった。近くで。私たちどうなったんだろうね、、、、」

「とつぜん空が、ものすごく眩しくなって、眼を閉じたところまでは覚えているんだけど、、、、その後のことは、、、、」

「私も。アッ、痛い、体が痛い、それに熱い。どうしたんだろうね。」

「ねえ、サキちゃん、あなた、本当にサキちゃんなの?」

「そうよ、どうして?」

「ふうん、なんでもない。ねえ、私どうなっている、見て。」

「駄目なの、私、体が痛くて動かせないし、眼も開けられないの。」

「そうなの、なんか、ものすごく変な臭いね。」

「ねえ、トモちゃんは、体を動かせる?」

「駄目、私も痛くて動かせない。どうして?」

「うん、だって、このままじゃ工場に遅刻するでしょう。私は駄目だけど、トモちゃんが歩けるなら、先に行って、時間までに行けないって伝えて欲しいの。」

「いいわよ。今日は工場を休みましょう。」

「そうね。こんなんじゃね。ふう、あっ、うっ、、、、」

「無理しないほうが良いよ。」 「そうね。ふう、きょう、今日は天気が良かったから、何か良いこと在ると思ったのにね。ねえ、トモちゃん、私、駄目みたい、痛くって、苦しくって、もう息も出来ない。」

「頑張ろう、助けが来るまで。」

「うん、そうだね。私、やりたいこと、まだいっぱいあるからね。私、昨日、お母さんに下駄箱を掃除するように言われたんだけど、やらなかったの、今日やろうと思っていたんだけど。これじゃ、どうしたらいいんだろう。」

「私も、どうしよう。弟のズボン、破れていたの、昨日のうちに縫ってあげればよかった。ねえ、サキちゃん、今日は何日?」

「六日、八月の六日。」

「やっぱりそうだよね。なんか忙しくって、忘れてた。今日は、私の誕生日なの。」

「そうなの、おめでとう。十五歳ね。」

「そう、十五歳。これからなのに。」

「ねえ、トモちゃんは何になりたいって言ってたっけ?」

「私、私は保母さんか、看護婦さん。サキちゃんは?」

「私は学校の先生、駄目ならお嫁さん。」

「ねえ、サキちゃん、顔はどう、痛い?」

「うん、とても痛いし、熱い、トモちゃんは?」

「私も、おんなじなんだ。」

「ねえ、トモちゃん、私やっぱり駄目みたい。苦しくって。もう息も出来ない。」

「頑張ろう、きっと誰かが助けに来てくれるから。」

「ねえ、トモちゃん、空まだ青い?」

「ふう、待ってね。見て見る、、、、うん、青い。」

「青いんだ。」

   











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