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    忘れ去られた列島(4部)


        神に生きる

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      狩宇無梨





 それから二日後の不安な黒雲に覆われた朝、突然
のように 今日の夕暮れまでに、モラクに神の裁き
が下されるというしらせが、サラムからの使者を通
じてヤホムにもたらされた。
 ヤホムはランとサンを連れ立ちダイシンデンへと
急いだ。
 昼過ぎに三人は裁きの場となる広場に到着した。
そこはこの前ほど、人びとであふれるほどではなか
ったが、武装したものや、オウの側近とみられる者
や、ひときわ目立つ服装をしたキョウシュや信者が
数多く混じっていた。

 午後も遅く、不安な黒雲はまだらになっていたが、
陽を射すほどではなかった。
 やがて群衆のどよめきとともに、モラクが二人の
武装者に両脇を抱えられ入ってきた。モラクはうな
だれることもなく、つねに前方を見据えながらしっ
かりとして足取りで悠然と歩いている。その瞳の輝
きは、どんなことでも受け入れることができるとい
う覚悟と意志の強さを表しているかのようだった。
両手は後ろ手に縛られ窮屈そうだったが、不安も動
揺もみじんも感じさせない、その平然とした表情で
歩いている姿は何事も恐れぬ勇者のようだった。

 モラクは階段の前に来ると、さらにそこから十段
ほど昇らされ、その眼に広がる踊り場にひざまつか
された。
 ほどなくして大教主が現れるとモラクの前に立っ
た。
 ヤホムたち三人は、モラクの顔がよく見える場所
に移動した。
 大教主は天を見上げ手を組み、そして何か祈りを
捧げるように仕草をしたあとモラクに話しかけた。
「..........」 
「、、、、、」
それを見ていたヤホムは思わずつぶやく。
「何を言っているんだろう?遠くてわからない」
それを聞いてランが答える。
「私やってみる、私、人と違って、その気になれ
ば、遠くで人が話していること聞くことができる
の」
 そう言いながら両手を合わせ、眼を閉じるラン
の姿に眼をむけながらも、ヤホムは思わずランの
その特殊な耳の形を改めて注視した。
ランは眼を閉じたまま話始める。

「、、、、、、、、、、、

大教主、どうだ考え直したかな。

モラク、、、、、

大教主、どうだモウムの神を信じる気になった
かな。

モラク、、、、、

大教主、簡単ではないか、私はモウムの神を信
じます、というだけなんだから。

モラク、、、、、

大教主、今ここにきているみたいだぞ、お前の
妻と息子が、その手で抱いてみたいと思わない
のか。

モラク、、、、、

大教主、お前は命が惜しくないのか。

モラク、、、、、

大教主、お前は本当は命が惜しいんだろう。

モラク、、、、、

大教主、判ったもう判った。それなら良い、もう
何も条件は付けない。ここからは大きい声では言
えないが、お前を助けてあげるよ、なんの条件も
付けずにお前の命を助けてあげるよ。

モラク、、、、、」

 ランのその言葉を聞きながらヤホムは、モラク
たちに眼をむけた。するとみるみる大教主の顔に
笑みがあふれたかと思ったら、やがてそれは広場
のだれにも届くほどの高笑いへと変わった。高笑
いがしばらく続いたあと、大教主は驕慢な笑みを
浮かべながら蔑むような眼差しをモラクに向けた。
そして言った。

「私は見たぞ、お前の眼の奥を、お前の負け犬の
ように臆病で卑劣な心が通り過ぎるのをな、はっ
きりと、はっきりと見たぞ。もう少し骨のあるや
つだと思っていたが、とんだ買い被りだったな、
やはりそんなに命が惜しいか、惜しいに決まって
いるよな、そりゃあ誰だって命が助かって思いっ
きり飲んだり食ったりしたいよな、この並の人間
め、この弱虫やろうが」
 大教主の罵りの言葉を受けながらモラクの体は
みるみる縮こまっていった。そして眼からは大粒
の涙を流しながらせき込むように泣き始めた。
 ちょうどそのとき空を覆っていた灰色の雲が割
れると、そこから射し入る陽の光がモラクを照ら
し出した。するとモラクは急に泣くことをやめ顔
をあげると、その陽の光に向かうようにゆっくり
と立ち上がり始めた。

 そのとき打ちひしがれ己を失いかけていたモラ
クの耳に次のような言葉がどこからともなく届き
始めていたのだ。

   《モラクよ、聞こえるか、もう泣く
    のはやめなさい、さあ、顔をあげ
    て立ち上がりなさい。なにも恐れ
    ることはない、さあ、立ち上がり
    なさい。私は風を吹かせる者、私
    は雨を降らせるもの、私は穂を実
    らせる者、私は暑さに苦しみなが
    ら畑仕事をするお前に風を吹かせ
    た者です。私は貧窮するミウマの
    家に食べ物をもってお前を導いた
    ものです。さあ階段を上りなさい、
    なにも恐れることはない、私は己
    の弱さをさらけ出すものを、そし
    て心から己の命をいとおしむもの
    を愛する者です。モラクよ、己の
    心の弱さを嘆いてはいけない、私
    は人間を そんなに強くは作って
    いないのだから、私は人間を私に
    似せて、私のように永遠に生きら
    れるものとして作ったのだから命
    を惜しむことは恥ずかしいことで
    はないのです。私は無垢を誠実を
    ひたむきさを愛する者、私は欺瞞
    を虚偽を傲慢さを憎む者。さあ、
    何も恐れることはない、顔をあげ
    て立ち上がりなさい、幼子が泣い
    て己が身を母親にゆだねようとす
    れば、母親はその幼子を抱きとめ
    るように、そなたが泣いて己が魂
    をを私にゆだねようとすれば、私
    はそれを受け入れ救うだろう。私
    は真実です。さあ、階段を上がっ
    て私の前に立ちなさい》


 この間モラクどこからともなく聞こえてくる声
に反応してその言葉を復唱するようにつぶやいて
いた。
 その言葉を聞きとったランがヤホムに知らせる
かのようにつぶやき続けていた。

      ランのつぶやき

   、、、、聞こえます、、、、、
   、、、、風を吹かせる者、、、、
   、、、、雨を降らせる者、、、、
   、、、、永遠に生きる者、、、、
   、、、、無垢を誠実を愛する者、、、
   、、、、真実なるものの前に、、、、

 やがてモラクは、二人の武装者を残して階段
を上り始める。すると、それまで侮りの表情で
モラクを見ていた大教主の顔はみるみるゆがん
でいった。それは嫉妬や憎しみや絶望感が入り
混じった激情に満ち溢れたものだった。大教主
もモラクの後を追うように階段を上り始めた。
それを最も近くで見ていた教主が叫ぶように
言う。
「危険ですから降りてください」
だが大教主は
「モウムの神を最も信じている私が裁かれるは
ずはないではないか」
と言って上り続けた。
 やがてモラク、そして大教主とその姿が見え
なくなった。
 それからどれほどの静寂な時間が流れただろ
うか、そのときは突然やってきた。
 眩い光と激しい破壊音が広場を揺さぶった。
人びとひれ伏すように身をかがめながら、ある
者は手で耳を覆い、またある者は衣服で顔全体
を覆った。
 ほどなくして鈍い音が広場にひびいた。それ
は階段の上の方から何かが転げ落ちてくる音で、
その音は階段の下で止まった。人びとがゆっく
り顔をあげてみると、そこには息のない大教主
の姿があった。群衆は雷に打たれたのは、つま
り神の裁きを受けたのは大教主であることを悟
った。  やがてモラクが階段を下りてきた。
 ヤホムら三人モラクに近づいた。
 四人が通るとき群衆が割れた道ができた。
 そして広場を離れ急ぐようにして大神殿を出
た。
 しばらく歩いたあと、何かの気配を感じてヤ
ホムが後ろを振り返ると、大神殿の上方の岩場
で手を振りながら何かを叫んでいる男の姿が見
えた。それはサラムだった。なにを言っている
んだろうとランに言うと、ランは手を合わせ眼
を閉じた。そして言った。
「すべては終わる、すべては終わったから、急
いで、急いでこの町から出るように」って言っ
てます。
 四人は急いで歩いた。歩きながらヤホムはモ
ラクの表情や声やその歩き方から、それほどモ
ラクが弱っていないことが判って安心した。ヤ
ホムが何気なくモラクに訊ねる。
「あのとき何が起こっていたんだ、階段を上る
前に」
「何も覚えていないんだ」
 そういうモラクの表情を見てヤホムはモラク
が嘘をついているようにも見えなかった。


 二日後、ヤホムたちが進む先にザイゴの町が
見えたころ、突然のランの驚きの声で後ろを振
り返ると、はるか西の上空にもくもくと立ち上
がる煙が、カミナリグモよりも大きな雲を形作
っているのが見えた。何が起こっているのかは
っきりと理解したヤホムは、サラムの言ったと
おりになったのかと胸が締め付けられそうな不
安に恐れわれたが、モラクたちはただ驚いて見
ているようだったので、限りなく安堵した。そ
してヤホムは笑みを浮かべながら言った。
「さあ、町は目の前、もう少しだぞ、それから
少し落ち着いたら、白鳥のように北に出発だ」
 歩きながらヤホムは再び不安な表情で振り返
った。そして思った。あの雲は大きな爆弾によ
るものに違いない、大きな爆弾とは、たぶん核
爆弾、でも彼らはそれを開発していたのか、い
や、していたようには見えない、すると大昔の
二大超大国の戦争のときの不発弾なのか、それ
なら彼らはそれを発見していたことになるのだ
が、ということは彼らが発見したのは教祖アサ
ラの墓などではなく、大昔の不発核爆弾という
ことなのか、いずれにせよ、サラムの言うとお
り、すべては終わる、すべては終わったという
ことなのか、それでこのことにはサラム自身が
関わっているということなのか、、、、ならば、
もしかして、あの神の裁きである雷についても
サラムが何かしら関わっているということな
のか。


 ヤホムたちは無事ザイゴにたどり着いた。
それから二日後、ヤホムはそのうちにまた訪
問することを約束して北に帰るモラクたちを
見送った。

 その後ヤホムはこの島で起こった出来事を
地球政府に報告するための手紙の作成に取り
掛かった。

 そしてそれを書き上げたヤホムはさっそく
リセ経由で送信した。

  手紙の要旨は次のようなものだった。

    地球政府事務総長様

、、、、、、、
、、、、、、、
、、、、、、、
、、、、、、、
、、、、、、、
、、、、、、、
、、、、、、、
、、、、、、、
、、、、、、、
、、、、、、、
、、、おそらく宇宙衛星などによって監視をつづけ
ていたと思われますから、最近この島で起こった変
化を察知して、何かしらの危惧を抱いていると考え
られますが、全く心配の必要はありません。たしか
にあの出来事は、この島にとってはとてつもなく衝
撃的なことに違いありません。それはこの島に住む
人たちの社会が未発達であったために起こったと言
えるのですが、でも同時に、そのことによって、こ
の島の社会がより成熟した社会に発展していくため
のきっかけとなりうる出来事ともいえるのです。
 それであの出来事の詳細ですが、あの巨大な爆発
は貯蔵されていた大量の薬品や火薬がなんらかの事
故によって偶然起こされたものなどではなく、ある
人間の意図的な操作によって起こされたもの、そし
てそれによって誘発された核爆弾の爆発と思われま
す。その核爆弾というのは大昔に使用された不発弾
で、かなり前に、この島の支配的地位にあった者た
ちによって発見され、このあいだまで秘匿されてい
たものと思われます。ですからこの島でひそかに核
兵器が開発されているかもしれないという心配はは
全くありません。それにもしかして、現在最も危惧
されているに違いない反物質爆弾などというものも、
依然として研究段階にも開発段階には程遠く、まだ
構想段階にあっただけのようです。私が部外者とし
て冷静にしかも客観的に思うには、それは愛に執着
する人間の悲しい妄想の産物のようにしか思われま
せん。ですからそのようなものは全くの噂に過ぎま
せん。地球政府の"永久立ち入り禁止区域"処置にも
かかわらず、現在この島にはたくさんの人間が住ん
でいます、おそらく当局はこのことを把握している
でしょう。それに多くの大陸の人間がひそかに出入
りしていることも。今ここに住んでいる人たちは、
遥か昔に核戦争の犠牲となって崩壊滅亡した日本と
いう国の子孫たちです。日本人はその核戦争後も生
き残り、放射能の恐怖や後遺症を克服しながら今日
まで命をつないできました。でも彼らの生活は、大
陸のような他の世界に住む人たち、いわゆる長い年
月を経てたくさんの問題を解決して、今日の地球政
府のもとに平和に生きているたくさんの人たちと違
って、かなり未開的です。政治も経済も文化も医学
も、今だ発展以前のかなり原始的ともいえる状態に
あります。ですが、これはとても不思議なことです
が、彼らの精神生活は、つまり彼らがシアワセと思
う気持ちは、現在地球政府のもとで様ざまな問題を
解決してはるかに進んだ医療のもと、そしてはるか
に多くの便利な道具に囲まれて生きている人たちが
思う幸せの気持ちと、それほど違っているようには
見えません。なぜなのでしょうか、私には不思議で
なりません。

 私たちの世界は、そのずっと昔から、人間同士の
対立から生まれ、そしてそれが地球そのものを壊し
かねないという数多くの重大な問題に直面しながら
も、どうにか知恵を絞りそれを解決して今日までや
ってきました。

 ところがいつまでたっても解決しえない問題が残
っていました。それは私たち人類が目指すべき社会
はどういうものが望ましいのかという究極の対立で
した。言い換えるとそれは、私たちを取り囲む物質
世界と私たちの心の世界の対立、つまりより多くの、
便利なものに囲まれた生活の方がシアワセであると
思う人たちと、できるだけそういうものに頼らない
自給自足的な生活の方がシアワセであると思う人た
ちとの対立といってもいいでしょう。前者は常に経
済が発展し続けることを望んでいるが、後者はそれ
を否定的に見ているため、両者はなかなか相容れる
ことができなかったようです。その対立があまりに
も深かったために、その両者が共存する世界こそが、
これから人類が目指すべきの理想的な世界であるこ
とになかなか思い至らなかったようです。でもそれ
も近年になってようやく解決されようとしているよ
うです。というのも、どんなに物質世界が人間に対
して支配的にふるまおうとも、人間は自由であれば
幸せになれるということを実践的に示してくれるた
くさんの人たちが地球上のあちこちに現れたからで
した。そういう人たちと、現在この島に住んでいる
人たちとの間に、はたしてどれほどの違いがあるの
かと、私は疑問に思っています。そこで私からの、
かつて祖先がこの島に住んでいたとされる私からの
心からのお願いがあります。今この島は無秩序状態
にあります。ですからか地球政府の力で介入して平
静さを取り戻させてほしいのです。ですが、未開人
だということで夢には武力で制圧しようなど考えて
いただきたくありません。もしそんなことになれは
この島の無辜な人間の誇りを傷つけ無用な血が流れ
ることになるかもしれませんから。もしそうなれば
おそらくひとたまりもないでしょう、この島の人た
ちは武器をもって人と殺しあったという経験はない
はずですから。そこで提案があります。まずは調査
団を送ることをおすすめします。そして穏やかな交
流から始めて、ゆっくりと人びとの心をつかむこと
をおすすめします。そのためには私は喜んで協力す
るつもりです。とにかくこの島の人たちは無垢でひ
たむきです。ですから時間をかければ、かつて征服
者が行ったされる未開人に対する暴力的な介入で、
彼らを悲劇的結末に至らせたというあやまちをくり
かえすことなく、この島の人たちを未開から抜け出
させることができるでしょう。

 最後に未来に対しての私の個人的な考えを述べさ
せていただきます。

 先ほど申しましたように、かつて私たちの世界は、
幾度となくこの地球そのものを崩壊しかねない様ざ
まな危機に直面しながらも、どうにかそれを乗り越
えて今日までやってきました。

 でもやはり最大の危機は、なんといっても世界規
模での戦争といっていいでしょう。

 西暦の最後の年に日本は当時の二大超大国の核戦
争の犠牲となり、この地球上から抹殺されてしまい
ました。でもそのおかげと言って良いくらいに、そ
の後の残された世界は平和になりました。それは人
類が自分たちの愚かさを反省したからというよりも、
その戦争によって、その戦争が起こった原因が取り
除かれたということが、直接的な理由のようです。
ところが時がたつと世界は再び行き詰まりまた世界
的な戦争が起こりました。そしてそのようなことが
再三くりかえされました。戦争が起こるたびに人び
とは、それは知性の敗北であるとか、理性の敗北で
あるとか、はたまたそれは悪魔の勝利なのではない
かなどと言って人間の無能力さを嘆いてきました。
ところが約束されていたかのように再び平和がやっ
てると、今度はこれは理性の勝利とか、知性の勝利
とか、正義の勝利とか言って楽観論に浮かれていま
した。でも結局再び世界は行き詰まり、そして世界
戦争へと、そしてまた平和へと。このように人類は
これまで幾度となく戦争と平和のサイクルを繰り返
してきました。そのたびに未来に対する人類の悲観
論と楽観論が繰り返されましながら。

 現在地球は平和です。でもそれはいずれやってく
るに違いない戦争までの猶予期間なのか、それとも
このままずっと続くに違いない永久の平和のはじま
りなのか誰にも判かっていません。
 私は戦争というものは常に正義と正義の戦いそし
て善人と善人との殺し合いだと思っています。そし
てその究極的な原因は人間の本質的な特性である、
その限りなく自由を求める気持ちと、その他の生き
物には見られない豊かな創造性にあると思います。
というのも、その自由と創造性の行使はなるものは
常に他者や他集団のそれと対立なしには成り立たな
いからです。そしてその対立はやがて能力のある勝
者と能力のない敗者という関係を生み出しながら、
次第に抑圧する者と抑圧される者という関係へと発
展していくのです。その結果として両者の間に物理
的な衝突が起こるようになり、やがてそれは、お互
いを力づくで排除しょうとする戦争へと発展せざる
を得なくなるです。

 現在は世界はたしかに平和です。でもいつはまた
解決しえない問題で人類が行き詰まり、お互いにそ
の自由と創造性の名のもとに人類を滅亡させかねな
い戦争が起こらないとも言えません。
 ですが私自身はそれほど悲観をしていません。な
ぜならそれは人間の本質的な特性を認めて、戦争の
本質を理解して、そして戦争の愚かさを知れば、だ
れも戦争をしたいなどとは思わないでしょうから。

 世界ではこれまで民族の存亡をかけた戦争から、
地球そのものを崩壊させかねないような世界を二分
した大戦争まで数限りなくく繰り返されてきました。
そしてそのときにおこなわれた殺戮、ときには民族
そのものが滅亡しかねないほどの大量殺戮によって
多くの人命が失われてきました。
 でもそれにもかかわらず生き残った人たちは必死
に命をつなげて、ひたむきにそして誠実に生き延び
てきました。まさにこの島の人たちもそうなのです。

 彼らには対立や抑圧の歴史や記憶はありません、
というか彼らにはそのようなものは必要ないのです。
なぜなら血塗られた殺戮者だけではなく、勝利者と
して凱旋する勇者をも、漆黒の虚無の渦に投げ入れ
るお方のもとで生きる人たちだからです。彼らは今
ひたむきにそして誠実に生きています。まさに
"神に生きる"人たちなのです。
、、、、、、、
、、、、、、、
、、、、、、、
、、、、、、、
、、、、、、、

         ヤホム マサラムより



     終わり





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