ブランコの下の水溜り(15部) はだい悠
清二が高志の見ているほうに目をやると、五十メートル先の樹木のあいだに一人の男が横たわっているのが見えた。服装からして浮浪者のようで眠っているのか、鳥が近くまで来ても気づかないようであった。 しかし清二はその光景を見ていると無性に腹がたってきてどうしても高志の言ったことには賛成できなかった。 「あれは鳥がバカにしているんですよ。あう云う人間はまったく意気地がないんですよ。そのくせ頑固で欲張りで自分本位で、自己主張だけはイッチョ前なんだから、自由で気ままかもしれないが、やつらは幸せを感じる能力なんて持ってないのさ、やつらこそ、この社会で必要としない人間なんだよ。自分たちで勝手なことしておいて何か困ったことがあったら、社会に助けてもらおうなどと、甘ったれたことを考えているんですよ。まったく手に負えない食えない人間なんだよ。よく同情的に見る人がいるけど、そんなものまったく必要ないね」 「めづしいね、君が怒るなんて」 「怒ってなんかいないよ、腹を立てているんだよ。こういうことは誰にもいえるって訳じゃないね。それには僕のように資格が必要だよ。ボクは奴らといっしょに生活していたから、こういうことが言える資格があるんだよ。でもこういうことこそ本当に公言できないことなんだろうね、、、、、前にも言ったと思うけど、酒飲んで訳のわからないことで絡む暴力的な男がいたって、その男一ヶ月前に殺されたよ。当然だろうね。ボクのような人間だったからよかったので、あれほど人を侮辱したり、脅迫したりすれば、普通なら喧嘩になるもんね。でも最後に絡んだ相手が悪すぎたよ。その相手って言うのは、以前タクシー強盗をやったことがあると云う、これも相当暴力的な男でね、おそらく取っ組み合いの喧嘩になったんだろうけど、五十過ぎのよぼよぼと、二十歳過ぎの若者じゃなあ、若い方が勝つに決まってるよね。殺した男も気の毒だよ。あれでも殺人罪だからな。殺された男っていうのは、とにかくどうしようもなかったよ。役立たずで、人に迷惑をかけるために生きているような男でね、ただ飲んで食って生きているだけで、あういうのこそ本当に生きていたってしょうがない人間なんだろうね」 清二が話しているあいだ高志はうつむいて聞いていた。再び沈黙が続いたあと高志がつぶやくようにいった。 「寒いな」 「そうか、ボクは興奮してしゃべったせいか、それほど感じなかったが冷え込んできたのかもしれないな。それじゃ部屋に帰りましょう」 高志のマンションに戻った清二はお茶を飲みながら三十分ほど洋子を交えて世間話をした。そして今度の日曜日紅葉を見にハイキングを兼ねたドライブに行くことを約束してマンションを出た。そして清二はその足で町に出た。 次の日曜日、清二たちは約束どおり車で三時間ほど掛かる郊外へ、紅葉を見にドライブに行った。 洋子はそれが本来の性格であるかのように快活で楽しそうであった。 洋子の何気ない会話から、以前にも二人でこのようなドライブをしたことが判った。 この計画は洋子の発案であったが、高志も積極的に賛成したのである。にもかかわらず高志は車が山道に入ってもそれほど紅葉には興味を示さなかった。沈黙気味であまり楽しそうではなかった。 車から降りて二キロほどの山道歩いて昇り終えても、苦痛から開放された喜びを表すこともなく、高いところから見晴らしのいい風景を見てもそれほど感激的ではなかった。清二がいたせいもあったろうが、洋子と高志とのあいだには夫婦らしい親しい会話はほとんどなかった。だが洋子はそのことに無頓着のようで、むしろ清二との会話に気を使っているようであった。だから清二は洋子と話しているか、高志と話しているかのどっちかであったので、三人が共有した会話と云うものはほとんどなかった。だが、ただ一度だけひょんなことから三人が参加して会話が成立したことがあった。それは岩場の急斜面をのぼっているときであった。銭湯の清二はその場所を何となく昇ったが、後から来た洋子は自力では登れなかったらしく、清二に手を差し伸べたが、清二はそれほどのことではないと思い、黙ってみていると、洋子がじれったそうに 「手を貸してよ」 と言った。洋子の後からついてきた高志がそれを見て、笑みを浮かべながら 「手を貸しなさいよ」 と言った。清二は照れ笑いを浮べながら手をさしのべて、洋子を引き上げるとついでに高志も引き上げた。三人が無事登り終えたので、その場でひと休みしながら洋子が弾んだ声で言った。 「清くんは、ちっとも変ってないのね、子供のときもこういうことがあったのよ。覚えてる? 裏の川に遊びにいったときのこと、土手が高すぎて女の子たちは上がれないのに、自分だけは上がってさっさと行こうとしたんだから。誰も見てないから良いじゃないと言っても、なかなか手を貸してくれなかったのよね、覚えてるでしょう」 清二は記憶にないといった様子で首かしげて聞いていたが、高志は笑みを浮かべて洋子と清二を交互に見ながら聞いていた。 帰りの車のなかで高志は、疲れたのかほとんど眠っていた。清二は何となく最近の高志の様子が気にかかった。と云うのも初めて高志にあったとき、やはり今日のように内向的で自信がなさそうで不安定たな印象であったが、しかし清二や彼の同僚たちを批判的にいったり、自然や社会や人生に対する彼なりの考えを話したりしたときには、多少不安そうで途惑い気味であったが、彼の表情には紛れもなく彼の内部から自然と沸き起こってくるような生き生きとしたものが感じられ、いまよりも精神的に柔軟で開放的で溌剌としていて情熱的でさえあった。少なくともそこには生きることへの積極的な姿勢が潜んでいた。しかし最近の彼にはそういったものがだんだんなくなって来ているような気がしたからである。 新しく入った五十過ぎの善良そうな男は二週間でやめていった。入ってきたときには先輩である久保山や清二たちに缶ビールを買ってきて配ったりしてね痛々しいほどの気の使いようであった。 木工所を経営していたと云うが、それが思わしくなくなり、急場しのぎに働きに来たようであった。日曜ごとに家に帰っていたのでちゃんとした家庭を持っていたようであった。彼の律儀さや善良さは最後まで変らなかった。 彼の大人しそうな風貌や年齢のせいか、珍しくも親方たちは彼に対しては気を使い、直接怒鳴りつけるようなことはしなかった。しかし彼自身は現場のきびしい雰囲気を感じていたようで、息を切らし半ば呆然としながらも動きまわっていた。しかし体力が伴わなかった。一般にこの仕事は四十を過ぎると体力的に無理だといわれていた。それも仕事に慣れた上でのことである。彼は五十を越えていたし未経験者であった。 いまさら体を鍛えなおすことは出来なかったに違いない。それに一人前としての技量を見に付けることは不可能に違いなかった。技量を身につけるには少なくともみんなと同じぐらい機敏に動ける体力が必要とそれるからである。 五十を過ぎた男が息を切らし顔を真っ赤にして、何とか仕事に慣れようと懸命に作業している姿は、気の毒なほどであった。しかし冷酷なようであるが、かといって彼をかばい彼のノロさに作業りリズムをあわせることは出来ないのである。親方たちの要求する一連の作業の流れのなかで、作業員は動かなければならないのである。そうすると必然ときに、彼の不慣れや遅さは衆目のもとで、まぎれもなく足手まといとなって現れるのである。 彼は自分が足手まといとなっていると云うことを悟っていたに違いない。それに他にも不満があったに違いなかった。と云うのも、親方たちが遠慮して怒鳴らなかったとはいえ、新人に対する扱いそのもは相変わらず不親切で思いやりがなかったからである。しかし彼の不平不満を清二は直接耳にしたことは一度もなかった。満足に仕事も出来ないくせに能書きだけは一人前の人間が多かったなかで、彼のように自分の立場をわきまえている人間は、いくら仕事が出来なかったとはいえ、辞めていったことは惜しい気がした。彼の孤独感や屈辱感を思えば、彼に対する扱いに後悔させるものがあった。 十二月に入ると鈴木が仕事を休むようになった。先月分の給料が上がったと云うことで喜んでいたのであるが。以前からときどきサボる癖はあった。でもそれは鈴木に限ったことではなかったので社長もおおめ見ていたが、週に三四日となるとさすがに社長も不満顔である。清二の部屋に寝泊りしていたので、清二は社長に鈴木の所在を訊かれるのであるが、夕べは帰って来なかったとしか言いようがなかった。 鈴木が休むようになった原因としては、まず第一に彼が仕事に対してまったく自信を失ったことにあるようだった。ただそうなったのには当然その過程がある訳である。 鈴木は、石田が闇討ちにあって休んでいるあいだに、親方として社長に現場を任された。鈴木の経験からして決して成し遂げられないような仕事ではなかった。ただ初めてのことなので、失敗を恐れるあまり、慎重な態度で仕事に臨んだようであった。 しかしそのような不安な気持ちの鈴木に対して心理的な圧力をかけるものがいた。新しく入ってきた男である。 名前は黒塚といった。黒塚は自分では何にも知らないくせに、親方である鈴木に対して、仕事のやり方が不味いとか、指示が悪いとか、あからさまに言ったらしい。黒塚の乱暴な言い方は脅迫的なところがあるので、酒が入ってないときは気弱や鈴木にとって、そのことはいたく堪えたらしい。そうでなくとも初めての親方役で仕事がうまくいくかどうかで不安になっているときなので、それに石田や三好よりも技量の面ではるかに劣っているところがあったので、どうやら鈴木は自分の技量に疑いを持ち始めているまったくの素人である黒塚に何も言い返せなかったようであった。ぐらつき始めた自信のため部下に対する指示も曖昧になり仕事もうまくはかどらなかったようであった。その結果ますます黒塚の攻撃的な批判を許すことになり完全に自信を喪失したようであった。 黒塚は鈴木や石田と同じくらいの小男であった。肌は浅黒く体の割には頭が異様に小さく、さらに顔の割にはアゴがカマキリのように小さく、眼はトンボのように大きく、どことなく貧相な感じであった。 彼は隣町から通っていた。入ってきた当初は身なりもきちんとしていて言葉遣いも丁寧で寡黙で大人しい雰囲気があった。最近新しく入ってきた者たちのなかでは、何となく話しづらい様な異質な感じはあったが、それでも以前いた話がまったく通じない人間よりは、まともな感じはした。年齢は本人が明らかにしようとしないので判らなかったが見た目には四十歳前後に見えた。ただ本人が積極的に明らかにしようとしたことは、若いときにボクシングをやっていたということであった。そのせいか、上半身は見事に発達していた。だがその割には下半身は異様なほど細くビッコを引いていた。 それは数ヶ月前に屋根を工事しているときにそこから落ちて骨折した脚がまだ治りきらないと云うことだった。 清二が彼を変な奴だと気づいたのは、彼が入ってきて二三日してからだった。朝、鈴木と仕事の打ち合わせをしているとき、さも自分のほうが知っていてるかのように偉そうにして横から口を挟んできたときだった。 清二は 「何も知らない新米の癖に」 と、半ば無意識に思いながら、不快な感じで聞き流していたが、そのときの黒塚の高ぶった眼には、まともな付き合い方では、いずれ手に負えなくなるに違いないと予感させるものがあった。 清二は三好のもとで働いていたので、黒塚が入ってしばらくの間は彼といっしょには仕事をしなかった。そのあいだ鈴木がいっしょに仕事をしたのである。鈴木が自信を失いかけていたころ、清二が鈴木との会話のなかで、黒塚のことが話題に上ったとき、清二が彼を"国沢みたいなやつだな"と言うと、鈴木は不機嫌な顔をしてはき捨てるように"国沢以上だ"と言った。国沢以上に扱いにくい人物ではないだろうと思っていた清二にとっては、その答えは意外であった。鈴木は明らかに黒塚を敵視して忌み嫌っているようであった。しかし清二そのときはまだその理由が判らなかった。 その後、清二はたびたび黒塚と現場同じになることがあった。 思っていた通り黒塚は今の仕事には関してはまったくの素人であった。ただ溶接の技術は持っていた。しかし溶接ができると言っても、それは全体の作業の本の一部に過ぎなかった。彼は不慣れと云うとで、それに脚が悪かったので、思いコンクリート版の運搬には携わらずに、というより自分から意識的にそう云う重労働は避けていた傾向はあったが、主に溶接とかモルタル作業をやっていた。彼が新しく入ってきた人間たちと明らかに違うところは、自分の待遇や扱いに対してあからさまに不平不満を言うことであった。とくに親方たちが苛立ったり怒鳴ったりして指示を与えるときには敏感に反応した。他のものなら自分はまだ仕事に不慣れなので知らないと云うことで、不満を感じながらも辛抱するのであるが、彼の場合、怒鳴られることは性格上我慢が出来ないようであった。彼は周囲に聞こえるように声を荒げ高慢な眼つきで不満を漏らした。それに、彼は自分の失敗に対しても不満を漏らした。他のものなら、"まだ知らなかったので、これから気をつけよう"と云うことで済むのであるが、彼の場合は、失敗を失敗として認めたくないのか、"ちゃんと教えてくれなかったからだ"と言い訳がましく周囲の者に聞こえるように言うのである。それらにはいつでも"なめられてたまるか"と云うプライドの高さを思わせるものがあり、またその声には暴力的で脅迫的な響きがあり、周囲のものを不穏にさせるものがあった。 彼は寡黙でも大人しくもなかった。同時期に新しく入ってきた従業員がまともすぎるせいか、異常さを感じさせるほどであった。彼は面白くないことがあると、どんなときでも周りに人さえいれば、高慢な眼つきで感情をむき出しにして不満をぶちまけ、 いきがって見せるのである。みんなは彼の言うことにはそれなりにもっともと思わせるところがあるのか、黙って聞いているのであるが、彼のけんか腰の荒々しい言い方には、何となく危険な雰囲気があるのか、彼のいうことに同調するものは誰もいなかった。ただ久保山だけはこれまでのように何かと話し相手になり同情的であった。 しかし彼が高ぶった眼で不満をぶちまけるのには絶対的な条件があった。それはその場には決して三好や石田が居ないということであった。仮に居ても声を低めて呟くように言うのである。彼らの前では決して不満顔や苛立った表情は見せなかった。ましてや、社長の前では、しどろもどろになり何もいえなかった。彼は人を見るのである。それで気が弱そうで仕事にも自信なさそうな鈴木には面と向かって言ったらしい。 しかし、その後清二も鈴木のように黒塚を忌み嫌うようになった。 それは彼と二人で現場にいったとき、朝から晩までいっしょに作業をしているなかで、改めて彼の扱いにくさを知ったからである。 その現場は、工事も最終段階に入り、あとは簡単な手直し仕事だったので、清二の技量でも充分に仕上げられるだろうと云う社長の決断で、清二が初めてまかされた現場だった。 朝、車で会社の事務所をあとにすると同時に、黒塚はぶつぶつと不満をいい始めた。まだ感情は高ぶっていないので言い方は穏かであったが、"朝早くて帰りが遅いのに、その割には給料は安い"とか"自分は大変な仕事だけをやらされている"とか、清二にしてみればまったくの見当違いなことなので、相槌もうたず黙って聞き流していた。というより清二は、社長の指示通りに今日のうちに仕事を仕上げられるかどうか、心配のあまり応えている余裕はなかったのである。 この日、現場で最初に清二を苛立たせたことは、黒塚は指示通りに動いてくれなかったことであった。仕事のないようなやり方を支持すると、彼は判ったように返事をするだけで任せておくのであるが、彼らブラブラするだけでいっこうに作業に取り掛かろうとしなかった。そこで清二は再び丁寧に説明すると、彼は苦笑いを浮べて、 「そのくらいのことは判っているよ」 と言って清二の言葉をさえぎった。 ようやく彼は仕事に取り掛かったが、やはり判っていないので、作業が遅かったり失敗ばかりしていた。 清二が本当に腹立たしく思ったのは、黒塚はその失敗を"ちゃんと教えてくれなかったからだ"と言って清二のせいにしたことであった。しかし清二はそれでも腹を立てている場合ではなかった。夕方までに終わるためには、冷静にひとつずつ仕上げていかなければならなかった。清二は彼のような人間と接するのははじめてであったので、なぜ彼が自分の言うことをきかないのか判らなかった。"バカなのだろうか"と思った。しかし彼は話しが通じないほどバカではないことはハッキリしていた。ただ考えられる理由としては、彼は年下である清二から指示を受けたり、教えられたりすることを潔しとしない、高すぎるプライドを持っているということであった。と云うのも彼は現場監督が工事状況を見に来たとき、自分の作業を中断して、まるで自分が作業の全内容を把握している責任者であるかのような顔をして話しはじめ、清二たちの工事とは関係のない作業を引き受けては、偉そうな言い方で清二に指示をしたからである。 清二゛は最初"何も知らないくせにでしゃばりやがって"と思いながら、彼の異様な行動にただあきれるばかりであったが、そのうちに予定外の作業のために、今日じゅうに終わるかどうか心配になってくると、だんだん苛立ってきた。しかし清二できる限り冷静さを装いながら彼に対処した。 黒塚は自分の作業が思いとおりに行かなかったり失敗したりするたびに、いらだっては意味もなく大声を上げたり、脅迫的な言い方で"こんな半端な仕事ばっかりさせやがって"とか"帰るまでに終わるのか"とか言って不満をあらわにした。 それはいつも清二がさ傍に居るときに聞こえよがしに言うので、清二は自分が非難されているような気がして、心穏かではなかった。彼は清二に対する不満を言っているのではないようだった。しかしその言い方には威嚇的なもの高圧的なものが感じられ、自分が彼に侮られているとしか思えなかった。少なくても仕事の上では彼よりは上だと思っていた清二にとっては、彼の舐めた態度には反発を覚えるのであった。とくに彼が清二の作業のやり方に偉そうに忠告めいたことを言うとき、清二は"何も知らないくせに"と思いながら無性に腹が立った。しかし彼の言うことには何となく筋が通ったところがあり、いちがいに無視も出来ず、それに親方ほど仕事の知識も技量もないので、自信のある態度で彼に言い返すこともできず、結局ひとりで苛立っていただけであった。その後は黒塚は暇さえあれば清二の前で何かと不満をぶちまけた。清二は自分に向かっていっているのではないと判っていても、イヤミのように気になりだんだんうんざりしてきた。それに彼は相変わらず清二の指示に従おうとしなかった。作業のやり方を説明しても、彼は清二のいうことを聞こうともせず自分の思いついたやり方を押し通そうとした。しかし彼のやり方でやっていたら作業は進まないので、清二は、自分のやり方を強引に進めるのであるが、彼にはそれが不満のようであった。彼は苛立った表情で 「俺はこういう仕事を長くやってんだよ」 とぶつぶつ言っては、清二から命令されることを拒否する態度を見せた。彼が面と向かって言ってくれれば、清二も言い返すことができるのであったが、彼は微妙に不満の矛先を清二からはずしているので、清二は何も言い返すことができないまま、ただイライラするだけであった。清二は彼が何を言おうと無視しようとした。しかし彼の声は大きく、それに現場には二人しかいないせいか、彼の言い方には、、自分のいうことが清二には聞こえていて何らかの影響を与えているに違いないと云うことが充分に計算されいてるよな巧妙さがあったので、そうもできなかった。作業はいっこうにはかどらず、黒塚はいうことを聞こうともせず、気に触ることばかり言うので清二はそのうちに気分が滅入ってきて、だんだん自信を失っていきそうになった。そしてこれが鈴木が陥った状態のような気がした。しかし、もしここで彼の心理的圧力に負けて卑屈な態度を見せたらますます付け込まれるような気がしたので、清二は、彼に対して苛立ちと腹立たしさを覚えながらも、ただひたすら耐えるしかなかった。しかし清二は、彼が何を言っても人が良さそうに無表情で黙って聞いていたわけではなかった。と云うのも腹立たしさを覚えながら冷静さを装っているのにも限界があった。だが、かといって黒塚に向かって何かを言うことはできないので、清二は鬱憤を発散するために、意味もなく大声を張り上げたり、物を乱暴に扱ったりして、彼と同じように自然と威嚇行動を取らざるを得なかった。 何とか夕方までには工事が完了したので、清二はそれまでの不愉快な出来事も忘れてほっとして気持ちで後片付けにはいったが、黒塚はまったく協力しようとしなかった。それに重いものを持つことに声を荒げて不満を漏らした。彼は自分は足が悪いんだということを言わんとしたのだろうが、終日彼の不可解な言動に悩まされてきた清二は、少しも同情的な気持ちにはなれなかった。むしろ彼の非協力的な態度だけが気になり、彼に対する嫌悪感しかなかった。 清二は彼のあまりの扱いにくさに、今までの経験からして、彼がどういう人間性の持ち主なのかまったく理解ができなかった。ただ以前働いていた奥山や国沢とはまた違ったタイプの人間のような気がした。だが彼に自分は鈴木と同じように甘く見られていることははっきりと判った。 帰りの車のなか、黒塚は不思議なほど冷静に、社長の従業員に対する扱いや待遇について、また親方たちの仕事に対する姿勢や作業の進め方について批判した。そのなかには日ごろから清二が感じていたことも含まれていたので、彼のいうことはもっともと思うところもあったが、どうしても彼に対する不信感や嫌悪感を拭い去ることは出来ないので、彼のいうことは所詮僻みからくる悪口に過ぎないような気がして、彼に話しを合わせることはしなかった。 車が会社の事務所につくと黒塚は、壊れた電動工具を社長に見せるようにと、命令するように清二に言った。それは黒塚が作業をしているときに壊したものであった。仕事で壊れたものなので別に誰も文句を言わないのであるが、彼の言い方には自分が壊したと思われたくないと云う意図がはっきりとこめられていた。黒塚は車から降りようと帰しなかった。清二は彼の心の奥底にある狡さや卑劣さを思うと怒りを感じた。 それまで清二は彼に対して不快感を抱いていてが、彼が不可解な言動をとるのは、まだ彼が仕事に慣れていないからで、それに奥山や国沢よりは話しが判り少しはまともな感じがしていたので、そのうちに仲良くやっていける違いないと、微かに望みを持っていたのであったが、そのことで彼に対する不信感や嫌悪感が決定的となった。これ以後清二は鈴木のように、黒塚を忌み嫌うようになっていった。 しかし清二は、鈴木が仕事を休むようになったのは、黒塚のせいだけではなく、自分にも責任があるような気がした。と云うのも、鈴木が自身を失いかけているときに、清二がさらに自信を失わせるようなことょ言ったからだった。それは鈴木が初めて親方として任された現場が、なぜか遅れに遅れて工期があと一日とせまったので、従業員全員で応援に行ったときのことだった。今日中に仕上げなければならないと云うことでみんなで作業を分担して仕事に取り掛かった。清二は自分の受け持った作業が夕方までにはどうしても終わりそうになかったので切羽詰った気持ちで走りまわるようにして働いていた。しかしそれに比べて他のものが受け持った作業は終わりそうなので、清二にはみんなは割合のんびりとして気楽な感じでやっているように見えた。とくに黒塚は例のヘラズ口をたたいてただぶらぶらしているようにさえ見えてきて清二は苛立っていた。そんな気分のとき現場責任者である鈴木がやってきて、清二にたいして新しい仕事を穏かに言い付けた。 「もっと早く言ってよ」 と清二は思わず苛立った表情で怒鳴るように言った。鈴木は厳しい表情で清二を見ながら 「なに言ってんだ、おまえは!」 と怒鳴り返すように言った。もともと怒鳴ったつもりはなかったので清二はすぐ冷静さを取り戻して普段のように話しかけた。鈴木も怒ったことを忘れたかのように冷静な言いかたに戻った。あまりにも突然のことだったので何事もなかったかのように終わったが、二人のあいだには紛れもなくわだかまりが残った。と云うのもその日は、鈴木は清二に仕事を再び頼もうとしなかった。それに清二はそう云う鈴木の態度になぜかよそよそしさを感じたので何となく気まずく思い、もう自分から話しかけることは出来なかった。 親方である鈴木に対して、苛立った表情で言ったのは、日頃から他のものより親しみを感じていたことから来る甘えのような気がした。しかし怒鳴るような大声を上げたことの裏には、彼に対する侮りの気持ちがいくらか含まれていたような気がした。 なぜなら石田や三好の前ではたとえトンなに苛立っても決して怒鳴るような言い方はしないからである。清二は彼に対して親しみは感じていたが、意識的に侮ったことは今までなかった。しかし日頃の彼の私生活のだらしなさを見たり、仕事に対する彼の不真面目な考えや態度に触れたり、また自分より力が弱そうであることを密か感じているうちに、自然と侮りの気持ちが無意識に生まれてきていたに違いなかった。 それは謝れば済むことであったが、清二はそれ以上のことを考えていた。と云うのも清二は日頃から人を侮るまいと思っていたし、仮にそう云う気持ちが起こったとしても決して表情に出したり口に出したりするまいと思っていた。ましてや親方でしかも親しみを感じていた鈴木に対して言うなどとは夢にも思っていなかった。しかし、自分の意志に反して、そのことが現実に起こったので、清二はかなりショックを受け、なぜこんなことになったのかと割り切れない気持ちであったからであった。少なくとも鈴木は他の誰よりも自分を信頼してくれたのに、それを裏切ったかと思うと、清二は今まで自分を成り立たせていたものがまたひとつ崩れ去っていくような気がした。 その後、鈴木は相変わらず清二の部屋に寝泊りしていたが、以前とそれほど親しさも友情関係も変らなかった。鈴木の心から、わだかまりも消えたようだった。清二はそうなることを心から望んでいたことであったが、ただし自分の心のなかにはそのときに感じた割り切れない気持ちはずっと残っていた。それにそれ以来鈴木は何となく元気がなくなり、以前にもまして休みがちになったことも確かであった。 ある土曜日の夕方。帰りの車のなかで、休みがちな鈴木のことが話題になった。 車運転する三好に隣から石田が 「最近、鈴木はどうしたんだ?」 と訊くと、三好は 「飲み歩いてばっかりいて、奴は仕事やる気がないんだよ」 と答えた。それを訊いて黒塚が高ぶった眼つきで話し出した。 「やる気がないのか、そうだろうな、鈴木さんは仕事知らないんじゃないの、なあ、図面ばっかり見ていてさ、ぜんぜん進まないの、次なにやるんだか、判ってないの、普通は次に何をやるか頭にはいっいてるもんだよ。あれじゃ親方失格だよ」 三好と石田は日頃から鈴木のことはをあまりよくは思っていないのであるが、黒塚に話を合わせようとはしなかった。 それまで清二は久保山以外ほとんど全員の悪口をうんざりするほど聞かされてきた。ただし黒塚は三好の前で石田の、また石田の前で三好の悪口は言わなかった。黒塚は二人は他のものが入っていけないような友情によって結ばれていることを感知しているからである。だから当然のように二人の前では社長の悪口を言わなかった。 黒塚の言うことにはあたっているところがあったが、清二にとっては聞き苦しいものであった。彼の性格の二重性、つまり陰では侮り罵っているのに、いざ本人の眼の前に出ると手のひら返したように従順な態度になること思うと、彼に対して激しい怒りを感じた。黒塚のことをイヤなやつと思っているのは鈴木や清二だけでないことは確かだった。ただし三好や石田は変な奴だと思っていたようであったが、他のもののように忌み嫌ってはいないようであった。なぜなら三好や石田はまだ彼の性格の二重性を知らないからである。 黒塚は奥山や国沢のように傲慢で頑固であったが、ただはっきりと違うところは、自分の利益になるなら状況に合わせてどのようにでも自分を変えられると云う、卑劣さや狡猾さがあった。それに比べて奥山や国沢は、まだ自分の感情に正直なところがあり、その性格にも、黒塚よりはるかに筋が通ったものがあった。おそらくそのために彼らは社会に柔軟に対応できずにあのように人と衝突し続ける不器用な生きかたしか出来ないに違いなかった。 「、、、、、あのときも大変だったんだから、いきなりだよ、トオルの奴イテェって叫ぶんだよ。何が起こったかと思ってみると、トオルの奴青くなって手からだらだら血をなかしてんの、ワイヤーをつかんでたんだろうな、村岡さんも、何も見てないでスイッチを押しっぱなしにしてたんだろうな、それからが大変だったよ。鈴木さんも度胸がないんだよ。ただオロオロするだけで何にも出来ないんだから、オレが病院に連れて行ったんだよ。ちょうど昼休みでどこも開いてなくてさ、あっちこっち探しまわったんだから」 「うぅん、でもワイヤーは手でつかむもんじゃないよ」 「そうだよな、そんなことも教えられてないんだからな、まったくに何も知らないんだから、ど素人とは、怖くていっしょに仕事やってられないよ」 それは鈴木が受け持っていた現場で、トオルがウインチのワイヤーに巻き込まれて指を怪我したときの話だった。黒塚は久保山の同調でますます調子に乗った。しかし清二は、事故は自分とは無関係なところで起こったかのような彼の言い方に反発を覚えた。それに彼の独りよがりの言動のためにまわりの人間が苛立ち、そのために事故が起こったと考えられなくはないと思うと、何となく腹立たしかった。 小さな頭の割りには異様に大きいな眼をギョロづかせながら尖ったあごをしゃくりあげて高ぶった表情で話している黒塚の顔を見ているとカマキリというより爬虫類を想像させた。 清二は黒塚の話をこれ以上聞くまいとするかのように窓の外に注意を向けた。そしてにが笑いをしながら 「そうか彼はカメレオンだったのか」 と心のなかで呟くと何となく笑みが漏れた。 車が駅の近くの賑やかな通りに入ると、舗道から溢れん場からりにして歩いている女子高生の集団に出会った。近くに複数の女子高があるので今日は何かの行事で遅くなり集団で下校しているらしかった。舗道に切れ目なく続く夥しい数の女子高生を見ながら三好が狂喜して言った。 「全部とやったら死んじまうだろうな」 清二も車の窓から、夜の華やかな光に照らされて、ひときわ美しく感じさせる彼女らの生き生きとして表情を見ていると、その集団のなかを見覚えのある男が歩いているのが眼に入ってきた。高志であった。彼は遅くも早くもない歩調で、その集団にあわせるようにしてあるしていた。ここは高志のマンションからだいぶ離れているところなので、清二は今頃なぜこんなところを歩いているのだろうと思った。そして何となく会ってみたくなり、ちょうど今日は土曜日だったので、今晩久しぶりに訊ねることにした。 清二が高志のマンションを訪問したのは八時過ぎだった。街を歩いている高志がもう戻っているだろうと計算した上でのことである。 ドアが開けられ洋子が弾んだ声で出迎えてくれた。室内は程よく暖房が聞いていて外が寒かったせいか清二はほっとした気持ちになった。 「高志さんは帰ってきてる?」 「ええ、いるわよ。今、友だちが来てるの」 そう言いながら洋子は歩きかけたが、清二は立ち止まったまま言った。 「友だち、出直そうかな」 「なに言ってんのかまわないわよ」 と洋子は強く言うので、清二はその勢いに押される感じで、何となく洋子の後からついていった。今に近づくに従って賑やかな話し声が聞こえてきた。知的な感じを与える男たちの張りのある声である。清二は急に気が重くなってきたので 「やっぱり帰る」 と言おうとしたが、洋子はすでに居間に入っていたので、仕方なく後からついていった。 高志の前には二人の男が座っていた。身なりもきちんとして、どうやら高志の同僚のようだった。ひとりは高志と同じくらいの年恰好で、顔立ちはあまりよくなかったが高志よりは精力的な感じのする男だった。もうひとりは顔つきはふけて見えたが肌のつやからしてまだ大学でたてと言った感じのする、メガネをかけた頭の良さそうな男であった。 議論に夢中になっているためか、清二が入って行っても、高志も二人の男もそれほど表情を変えず、洋子に紹介されても、清二とは眼をあわせるだけの軽い挨拶をしただけであった。そして清二はそれまで洋子が座っていたらしい、彼らの斜め横の席に座った。しかし清二にとっては、二人の見しらぬ男が居るということもあったが、もともとこういう雰囲気には気遅れがして苦手であった。それに高志も、向かい合っている二人の男のほうを正視しているその表情や態度にも、意気込みが感じられ、人が変ったように元気そうだったので、清二は自分がここに居ることに場違いな感じがしてなんとも居心地が悪かった。別に高志が元気でいることは良いことであったが、なんとなくはぐらかされたような気持ちになったからである。やっぱり思い切って帰ればよかったと清二は激しく後悔した。 年上の男の話は続いていた。 「、、、、、まあ結論としては、女性は結婚したら外に出て働くべきではないよ。ちゃんと家庭に入って、家事や子供を育てたりするべきだよ。まあ君の奥さんのように才能ある人は別だろうけど、でも才能ある女性なんてそんなにいないよ。だいいち女房に働かせるようじゃ男じゃないよ。家計なんて男手ひとつでちゃんとやっていけるもんだよ。収入が減るならその分男がバリバリ働けばいいんだよ。それに家庭がしっかりしているから男だって安心して仕事が出来るんだからね」 若い男がさえぎるように言った。 「よくいるでしょう、外に出て働くのを生きがいにしている女性が」 「うん、そうだな、ボクはあう言うのを見てると、うんざりするよ。たいていは頭の良さそうなブスだからね。でも頭が良さそうといったって、男から見れば高が知れてるよ。家に居てさ、家事をやったり子供を育てたりすることだって、ボクは立派な仕事だって思っているよ。どうして女性はそれに気づかないんだろう。最近は男女平等と云うことで、職場では男も女も同じように扱い、給料も同じようになる傾向にあるけど、でも大部分の男は、腹の底では、女はたいした仕事は出来ないと思ってているよ。君だっていっしょにやっててそう感じるだろう。若い男が無表情で頷いた。高志が話し始めた。 「でも歴史の流れは、より平等な方向へと向かって流れているよ」 「うん、それはそうだけど、でも現実的には男としてどうしても釈然としないものがある。というより、いっそのこと早く完璧な男女平等になってほしいよ。そうすれば女性にとってはかえって大変だろうね。何せ現代は競争社会だから、男とまともに競走しなければならなくなるよ。そうなるとはっきりいって、女性だからといってボクは容赦しないよ。遠慮くなく蹴落とすよ。なんてったって、体力と知力は男のほうが勝るんだからね。しょせん女の知性なんて高が知れてるからね。そうなれば女性も敗北宣言をして家庭で大人しくしていた方がいいって判るだろうね」 「でも、最近は、女性としての存在が無視できないっていうじゃない。商売するのにも物を作ったりするのにも、女性の完成が必要だって言うじゃない」 「まあ、そう云うことをいう人もいるみたいだけど、でもそれはほんの一握りよ。それでマスコミが珍しがって取り上げるから、そう云う傾向が目立つので、でも本当に頑張っているのはやっぱり男だよ。そんな風になる訳ないじゃない。それにだよ、もし本当にそう云う傾向が主流になっていたら、日本はダメになっちゃうよ。いくらなんでも感情的で視野の狭い女性には日本を任せられませんよ。あんまり大きい声じゃ言えないけど、ボクは本当は選挙権だって女性には必要ないと思っているんだよ。だって、女性に高度な政治的判断などできる訳ないからね。女性がどんな基準で投票するかわかる?うちの女房なんて、感じがいいとか悪いとか、知り合いに頼まれたからとかだよ。政治家の言うことは皆いいことを言っているように見えて、誰が良いか悪いか判らないって言うんだよ。ほとんどの女性がそうだよ。日頃から目先のことにしか興味がないから、いざ選挙の時だってわからないんだろうね。そもそも女性は政治には関心がもてないんだよ。まあ色んな反対運動をしている女性がいるけど、長い眼で見たら間違っているかもしれないよ。だって自分の住んでするところだけを良くしようとか、自分たちの生活だけをよくしようとか、目先の利益しか見えないんだから。世界がどのように成り立っているとか、いまどういう変化をしているとかにはぜんぜん無関心なんだから。しょせん女性の頭じゃ、本質的なものは何にも考えられないんだよまあ、暇なんだろうね、そうは思いませんか?」 そう言いながら年上の男は少し間のわるそうな笑みを浮べて、さっきからずっとうつむき加減で黙っている清二のほうを見た。もともと会話に入るつもりはなくただ聞いているだけであった清二はいきなり意見を求められても心の準備ができていなかったので、話の流れに沿った適当な意見が思い浮かばなかった。そこで今までの話の内容の漠然とした印象から、途惑いながらも思いつきで言うしかなかった。 「こういう話は百年後の未来でもされているでしょうね。でも女性が無関心なのは人類の未来の姿だと思いますけど」 よっぽど間の抜けたことを言ったらしく、高志も若い男も清二のほうにチラッと目をやった。清二に意見を求めた男もまさか清二が意見を述べるとは思っていなかったようで、キョトンとした眼をして聞いていたが、すぐ高志のほうを向き直ると間の抜けた雰囲気を払拭するかのように、陽気に弾んだ声で話しはじめた。 「まあ、とにかく、ボクは男性がもう少し強くならなければならないと思ってますわ。男はもっと言いたいことを言ってさ、前面に出るべきだよ。もしこのまま女の浅知恵とか感情とかで社会のことが決められていったら、それこそ世界はめちゃくちゃになっちゃうよ。女性のとりえは美しくあることと子供を生むことだからね。もうそれだけで充分、社会に貢献しているじゃない、何も自分たちの苦手なことにまで口出しすべきじゃないよ」 ![]() ![]() |